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2021年2月28日

2021年02月28日 日曜日 8:30 第36回放送

「通訳、即ち裏切りである」と言うイタリアの格言。

「どんな翻訳も原文を忠実に伝えるだけでは通訳者として成り立たず、どうしても原著書の意を裏切ってしまう」と言う意味。

これに関連する「不実な美女か、貞淑なブスか」と言うタイトルの書籍も出ている。

これは「その場の状況や人間関係を考慮した上で同じニュアンスで伝わる様、原文通りには訳さない」と言うことと「その場の状況や人間関係への配慮は全くなく、原文を忠実に訳すことでメッセージが伝わらない」と言うことの比喩。

翻訳業も手がけるミトは、「言語をまたげば『不実な美女』は当然のことである」とコメントする。

翻訳・通訳は本来あり得ない物である。感覚が似た言語であればま良くも、英語と日本語の様にそれらが対立する様な言語では、例えば褒められたことに対して、

日本語: 「そんなことない」と言い、否定を持って謙遜する
英語: 大喜びする

がそれぞれの言語において正しい振る舞い方であるが、これらを入れ替えると、日本では「嫌なやつ」と取られ、英語圏では「卑屈な人間」と取られる。

この様に、翻訳・通訳において原文から意訳をすることは当たり前のことである。

言語をまたぐと「本当は喜びを表現したいのに、もう一方の言語では文化的にそれができない。故に苦しい」とミトが発言。

「余裕」と言う日本語の用法は、「心の余裕」「時間の余裕」「スペースの余裕」「金銭の余裕」「余裕でできる」など様々だが、これと同じ機能を持つ一単語は英語に存在しないため、それぞれの状況で用いる対訳の語が変わる。

ミトが生徒と英語で会話をしてきている中で、「余裕」に相当する言葉のストックを英語で持たない生徒が、会話の進行を止めて「『余裕』は英語でなんと言うんだ」とミト に尋ねるも「日本語のそれに相当する言葉はなく、状況に応じて単語の使い分けをしなくてはならない」と説明をすると「今知りたいのは、この状況において使える『余裕に相当する』なのだから、教えてくれるのは一単語だけで良い」と返されたことが以前あった、と言う。

「これでは日本語からの置き換えで英語を話しているだけで、英語の感覚が生徒の中に育たない。だからそう言う教え方は一切やらない」とミトが発言。

「一般的な英会話スクールでは、生徒が『この単語は英語でなんと言うの』と尋ねれば、答えを教えるのではないか」とユウコがコメント。「これまで番組をやってきた中で学んだことから『英語の感覚が育たないから、そう言う教え方は一切やらない』と言う考え方は良く理解できるが、その考えがない生徒は、文句を言うのではないか」とユウコがミトに質問する。

「それが原因で辞めていった生徒は過去もに多くいる」とミトが返す。