今回の形容詞は「天然」
「天然素材」のように「自然な」という意味で用いられる場合と、「天然キャラ」という様に「のんびりした、ドジな、おバカな」と言った意味で用いられる場合とがある。
後者の用法は、文化、習慣、社会現象などから生み出された「スラング」に位置づけされる。
「スラング」は多くの場合、それが生まれた言語特有の感覚で、多言語には存在しない表現であることが多い。
「天然キャラ」という言葉もその一つで、英語にはその表現だけでなく、その考え方自体が存在しない。
「天然キャラ」を “He/She is natural.” と表現する英語学習者は多いが、それでは全く通じない。それだけではなく、その意味を事細かく説明したとしても、その表現で人を形容することが面白いと感じるためのコンセプトが英語にはないことから、日本語で「天然キャラ」と言った時に与える印象を、英語で表現することは叶わない。
日本語で話す内容全てを英語で話そうとするのではなく、何がスラングで何がそうではないかをしっかり認識し、伝えられる事とそうではないことを見分けられる様になることも、英会話でスムーズなコミュニケーションを図るためのカギである。
今日の1曲: Heaven by Los Lonely Boys
後半
前半の「認識をする」というキーフレーズから。
日本人の多くは「日本人は無宗教である」というわりに、宗教的行動を頻繁に取る。例えば、
「初詣」「手を合わせて『いただきます』という」「墓参り」「お盆」
など。
「仏教」「神道」と言った宗教の種類に関わらず、またそれらの信仰度合いに関わらず、例えば英会話の授業で以下の様な内容を話す。
ミト: 正月はどの様に過ごすの?
生徒: 神社に行きます。
ミト: 神社に行って何をするの?
生徒: 家族の健康や商売の繁栄を神様にお願いしに行きます。
最後の生徒の発言から「神様にお願い」と言っている時点で充分に宗教的行動なのだが、多くの日本人はそれを「宗教的行動」ではなく「日本文化における年間行事」と認識していることから「日本人は無宗教だから」という発言に至るのではないか。
グローバル化社会での多様性において、海外の人とうまくコミュニケーションを取るに当たって、日本をより知ってもらうのであれば「日本人は無宗教だから」という表現は、あまりにも言葉の選択を間違えている。
「いくつかの宗教観を持つ中で、信仰度合いはさほど高くなく、日本の年間行事などに宗教的行動が溶け込んでいる」と認識し、それを説明できなければ、海外の視点からすると「宗教行事を行うのに無宗教って、日本人とは一体どういう人々なんだ?」とミスコミュニケーションを招く結果にもつながる。