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2020年11月14日

The Little House

昔あるところに小さな一軒家があった。りんごの木に囲まれて小さな丘の上に立つその家は、毎日自然豊かな田舎の生活を送っていたが、夜遠くに見える街の灯りを見て、街での生活はどんなモノだろうと思っていた。

月日が経ち、小さな家の周りは開発されていく。新たな住宅やアパート、目の前には路面電車が走る様になる。さらには高架鉄道、地下鉄なども走り、小さな家はいつしか高層ビルで囲まれていた。

夜は街の光で明るく、空気は埃と煙に塗れていた。人々は忙しく誰も小さな家に目もくれなくなっていた。外観がボロボロになった小さな家は田舎での生活が恋しかった。

ある日、小さな家を建てた人の子孫が偶然小さな家の前を通り、その家に目を止めた。自分の祖母が昔その家に住んでいたことをつきとめたその子孫は、小さな家をりんごの木のある田舎に移築させた。

こうして小さな家は再び田舎で幸せな時間を過ごし始めるのであった。

“The Little House” by Virginia Lee Burton