主要16動詞のうちの3つ目である ‘make’について、この単語の対訳は、単に「作る」よりも「〜の状態を作る」と考える方が多方面で意味を取りやすくなる。これまで見てきた ‘get’ ‘have’‘make’ の3つの動詞には共通するニュアンスがある。それは3つとも「人に何かをさせる」という意味合いでの使い方があるのだが、その強制力の度合いが強い順に ‘make’ ‘have’ ‘get’ となっている。
例えば、「子供に部屋を掃除させる」場合は1番強い表現で、”I make my son clean hisroom.”「不在の人間に後で電話を折り返させる」のであれば2番目の強度の“I will have her call you.”「人にお願いをして何かをしてもらう」のであれば1番弱い表現で“I will get you to do thisfor me.”このように理論での理解はさほど難しくないが、実戦でこれを用いるには日頃からの訓練が必要となる。
後半の対話内容
日本社会では、「低姿勢で丁寧に謝ればことが荒立たなくて済む」と考える傾向がある。
そして、「謝られて悪い気をする人はいないから、この姿勢は世界中どこでも受け入れられる」と日本人は考えがち。そうは考えない国も多くある。
以前、ミトとその連れがレストランで食事をしていたら、そこの客として来ていた二人組が絡んできた。その二人が大変失礼なことを言ったことに対してミトが一喝し、その場の空気が張り詰めた。その二人は立ち去り、その後すぐその店の店⻑がミトにサービスでビールを1杯持って来て謝罪した。
その謝罪内容は、ただ「すみませんでした。お詫びにビールをどうぞ」というものであった。「客同士の諍いなどが起こらないように気をつけて注意を払い、できる限り何か起きる前に対処することも接客業においては大切な業務。しかしそれが至らず、嫌な思いをさせてしまったことについて申し訳ないので、お詫びにビールをサービスします」と言った説明があったのであれば問題はなかったのだが、ただ謝るのでは何について誤っているのかわからないだけでなく、まるで迷惑をかけた2人組に代わって謝っているかのようにしか取れず、あげくビール1杯で怒りを沈めろと言われたとしか取れず、むしろ謝られたことに腹が立った。
日本における 「何かことが起きたら、まず真っ先に謝って一旦場を収める」という考え方を良いと思わない国もあるのだという、ミトの実体験による1例である。